消費税、全体像
消費税についてです。
消費税の計算方法についてざっと見ていきます。
主なものについて、計算の順序は以下のとおりです。
消費税は、よく、「預かった消費税から支払った消費税を引いて、納税する」と言われます。
ここでいう「預かった消費税」というのが、「売上に対する消費税」であり、「支払った消費税」というのが、「仕入や経費に対する消費税」ということです。
この計算順序は、要は、
1で納税義務の判定をし(納税義務がないならば、これ以降の計算をする必要がありません)、納税義務があるならば、
2の課税標準に対する消費税額で、「預かった消費税」を算定し、
3及び4で「支払った消費税」を算定、
5で「預かった消費税」から「支払った消費税」を控除し、当事業年度での要納税額を算定、
6で、5から中間納付額を控除し、当期末に納付すべき額を計算する
ということです。
それでは順番に見ていきます。
1、納税義務の判定
そもそも消費税を払う義務があるのかどうか、判定を行います。
消費税は法人ならば事業年度、個人でしたらその年の1月から12月までを消費税の計算の期間としますが、その事業年度の前前事業年度、つまり、二年前の事業年度の課税売上高が1000万未満でしたら消費税の納税が免除されます。
ここでいう課税売上高とは、課税取引と免税取引の合計を言い、税抜ベースで判定します。
2、課税標準に対する消費税額
前述のとおり、主に売上に対する消費税額です。ただ、消費税は取引ごとに課税される取引か否かを判定していきます。車や工場設備等の売却があれば、それも課税取引となるので、その売却額も「預かった消費税」として納税の対象となります。
計算は課税標準を計算し(1000円未満切り捨て)、税率を乗じて算定します。
3、課税売上割合
ここからは「支払った消費税」の計算です。消費税の納税額の計算において、「預かった消費税」は売上等に対して全額を納税する必要がありますが、「支払った消費税」については、「預かった消費税」に関連する分しか控除することができません。(例外あり)
「支払った消費税」全額のうち、どれだけ控除できるか、その割合が、課税売上割合ということです。
計算は、「課税売上」/「課税売上」+「非課税売上」で算定します。
ざっくりですが、「預かった消費税」の算定基礎となる売上/売上全額というイメージです。
4、控除対象消費税額
3で計算した課税売上割合を使って、「控除できる」「支払った消費税額」の算定をしていきます。
まず、支払った消費税額のもととなる、仕入や経費支払額を集計します。
その際に、
①課税売上のみに要する支払
②非課税売上のみに要する支払い
③課税売上、非課税売上両方に共通して要する支払い
に区分して集計します。
控除したら、
- ①~③の合計額×課税売上割合で算定(一括比例配分方式)
- ①の全額+③×課税売上割合で算定(個別対応方式)
のどちらかによって「支払った消費税」を計算します。これは有利な方を利用できます。(金額が大きい方が有利です)
なお、課税課税売上割合が95%以上かつ、課税売上が5億円超の場合は「支払った消費税」の全額控除が認められています。(前述の「例外」がこれです)
5、差引税額
前述のとおり、「預かった消費税」から「支払った消費税」を控除し、当事業年度での納税額全額を算定します。
6、納付税額
消費税でも、法人税や所得税と同じく中間納付の制度があります。
5から中間納付額を控除し、当期末に納付すべき額を計算します。
以上が消費税の大枠です。大枠です。
実際は、例えば売上の返還や貸倒があればその調整もしますし、固定資産の利用目的が非課税売上から課税売上に変わればその調整もします。
また、取引自体も、不課税、非課税、免税、課税とわかれますし、それが仕入側か売上側かによって、消費税の計算に違いもでてきます。
ご注意を。